日本消化器内視鏡学会甲信越支部

22.NBI観察が発見の一助となった2mm大の直腸癌の一例

諏訪赤十字病院 消化器科
田中 大三、進士 明宏、太田 裕志、上條 敦、小松 健一、武川 建二、山村 伸吉

症例は80歳、女性。1ヵ月前から排便がすっきりしないため、近医よりColonoscopyを依頼された。既往歴に25年前に乳癌手術歴があるが、無再発であった。Colonoscopyでは、上行結腸とS状結腸に憩室を認める以外問題がないと思われたが、検査終了間際のルーチンで行っている、直腸部の詳細な観察をすると下部直腸に粘膜表層の血管がやや目立つ小隆起性病変を認めた。インジゴカルミン撒布およびNBI観察を併用したところ、NBI観察で、径の太い異常血管(腫瘍血管)と判断し、生検で、Group 5, tub1の高分化型腺癌と確定診断し、後日EMRを行った。切除病理所見では、径2mm, tub1, int, pSM(粘膜筋板よりわずかに浸潤あり)、INFb, ly0, v0, pHM0, pVM0, Cur EAであった。直腸病変では特に、見逃しがあると、人工肛門造設などQOLの低下を起こす可柏ォがあり、一見問題がないような症例であっても、NBIを併用するなど注意深い観察をこころがける必要があると改めて感じさせる症例であり、文献的考察も含め報告する。