日本消化器内視鏡学会甲信越支部

19.横川吸虫症の1例

下越病院 消化器科
原田 学、入月  聡、河内 邦裕、山川 良一

【症例】症例は37歳。2010年7月頃にアユを生食した。10月上旬頃より腹痛・下痢症状が出現し、10月30日に当院を受診して精査加療のため入院した。末梢血液像で好酸球の上昇が認められた。来院時の腹部CT画像では、十二指腸壁の浮腫と少量の腹水が認められた。上部消化管内視鏡画像では、十二指腸球部遠位から下行部に粘膜浮腫が認められ、生検で著名な好酸球浸潤が認められた。以上より、この時点では好酸球性十二指腸炎と診断し、プレドニゾロン20mg/dayの内服を開始し漸減した。ステロイド投与後、腹部CT・内視鏡画像所見は改善し、好酸球の値は正常化したが、自覚症状は持続した。その後便虫卵検査にて横川吸虫症と診断した。プラジカンテルの内服を行ったところ、自覚症状が改善した。【考察】本症例では初回入院時に便虫卵検査を施行しなかったために寄生虫の除外が不十分のまま好酸球性腸炎と診断してしまい、確定診断までに約1ヶ月半要することとなった。その後の便虫卵検査でも虫卵数が少ないために虫卵を検出するのに苦慮した。消化器症状が持続する場合には寄生虫感染も鑑別に挙げられるが、1回の糞便検査では診断がつかない場合もあり注意が必要と思われた。