日本消化器内視鏡学会甲信越支部

18.大量下血を来し、外科的切除を行った小腸Masson腫瘍(血管内乳頭状内皮過形成)の1例

済生会新潟第二病院 消化器内科
廣瀬 奏恵、本間 照、阿部 寛幸、長島 藍子、窪田 智之、富樫 忠之、関 慶一、石川 達、吉田 俊明
済生会新潟第二病院 外科
酒井 靖夫、関根 和彦
済生会新潟第二病院 病理診断科
石原 法子

【症例】16歳女性【現病歴】昼食後、腹痛に引き続き下痢が出現した。近医を受診し抗生剤と整腸剤が投与されたが水様性下痢が持続し、2日後の夜間に大量下血を来し当院へ救急搬送された。Hb 3.9g/dL、出血性ショックの状態であり、輸血を施行した。同日CTにて左上腹部小腸壁に血管と同等の造影効果を認める7mm大の腫瘤を指摘された。下部消化管内視鏡では明らかな出血源は指摘出来なかった。入院後は下血なく経過していた。入院1週間後に小腸内視鏡を施行した。切歯列より130cmの上部空腸に約8mmのSMT様隆起を認めた。立ち上がりはYamada-2〜3型を呈し、頂部に陥凹を認めたが凝血塊が付着しており陥凹局面内の観察は出来なかった。入院9日目の夜間に再度大量下血が出現したため翌日緊急で腹腔鏡下小腸切除を施行した。術中所見では他病変は見られなかった。術後の病理組織検査でMasson腫瘍(血管内乳頭状内皮過形成)と診断された。病変は粘膜下層に留まっており、境界明瞭で舞w部に潰瘍形成を伴っていた。sm側底部には異形のない血管内皮の乳頭状増生を認めMasson腫瘍と診断した。