日本消化器内視鏡学会甲信越支部

14.胃瘻栄養中に発生した胃軸捻転症の1例

飯田市立病院消化器内科
小林 惇一、中村 喜行、玉井 方貴、高橋 俊春、武田 龍太郎、持塚 章芳、岡庭 信司
飯田市立病院外科・大町市立病院外科
秋田 倫幸
飯田市立病院総合内科
白旗 久美子
飯田市立病院外科
金子 源吾

胃瘻造設患者に胃軸捻転を発症し、自然解除された1例を経験したので報告する。 症例50歳代女性。2年前に内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を受けた。栄養剤注入後の嘔吐、腹部膨満を主訴に受診した。内視鏡検査で捻られたような胃内腔が観察されたが、胃瘻チューブ、バンパーは観察されなかった。胃角、前庭部は認識できず、スコープの肛門側への挿入は困難であった。CTで胃は体部から前庭部で折れ曲がり、変形部にバンパーが存在し、胃底部に空気の貯留と、変形部の十二指腸側に著明な液体貯留を認めた。胃瘻からのガストログラフィン造影で変形部の十二指腸側に拡張した消化管腔を認め、拡張肛門側で造影剤の途絶がみられた。以上より胃軸捻転症と診断、レントゲン検査で経過観察していたところ第3病日に排便とともに軸捻転は解除された。解除後の内視鏡検査ではチューブ挿入部胃壁の浮腫状に隆起した所見とそれに連なる胃角の帯状ビラン面を認め胃瘻チューブを中心に捻転が起きたものと思われた。胃瘻患者における胃軸捻転症は稀であり報告する。