【症例】70歳代、女性ドックのEGDで胃SMTを指摘された。胃体下部前壁にSMT様隆起性病変を認めた。頂部に軽度陥凹を認め、cushion sign陰性であった。EUSでは、2/5層に主座を置き、高低エコー域が混在していた。異所性膵、転移性腫瘍等が鑑別に挙がり、病変頂部からボーリング生検を採取した。生検結果は、adenocarcinoma, tub1であった。【臨床経過】CT、TCS、PETにて他病変やリンパ節転移は無く、原発性胃癌と診断の上、幽門側切除を施行した。【病理組織所見】粘膜下層に限局して腫瘍腺管増殖を認めた。辺縁部ではリンパ濾胞やリンパ球浸潤が目立ち、lymphoid stromaの状態であった。病巣の表面を覆っている粘膜は軽度萎縮のある胃底腺で、粘膜内に腫瘍はなかった。異所性胃粘膜もなかった。最終診断は、Gastric adenocarcinoma, tub1, pT1b(SM2), INFb, ly0, v0, PM0, DM0, pType 5(SMT), 11×10mm, pN0 (0/35), R0であった。【考察】遡及的検討にて、2年前のEGDでは同病変は指摘できず、1年前のEGDでは同部位にSMTを認めたが、大きさは約半分であった。増大傾向のあるSMT様病変はFNAやボーリング生検による確定診断が重要と思われた。