日本消化器内視鏡学会甲信越支部

8.脳転移で発見された食道胃接合部癌の1例

1国立病院機構まつもと医療センター 松本病院
松村 任泰、小池 祥一郎、鈴木 陽太、横井 謙太、中川 幹、荒井 正幸、北村 宏
まつもと医療センター 松本病院 研究検査科病理
中澤 功

症例は44歳、男性。2010年12月頃より食欲低下、左半身のしびれあり。2011年1月9日左半身麻痺が出現し、A病院に救急搬送となった。CTで右側頭葉に径4.5cm、後頭葉に径2cmの腫瘍を認め、緊急手術施行し、側頭葉部の切除を行い、全脳照射30Gy+SRS16Gyを追加した。切除物の病理診断は腺癌であり、転移性脳腫瘍と診断された。原発検索目的で行ったPETでは下部食道にのみ集積あり、精査加療目的で当科に紹介となった。内視鏡検査で下部食道から噴門に及ぶ3型癌を認め、生検でpor-sigであった。狭窄が強いため、原発巣の切除再建を行う方針とした。左開胸開腹により下部食道および胃全摘を行い、空腸を挙上して再建した。術後経過は良好で、MRでも脳転移の増大や半身麻痺もなく、術後21病日退院した。現在外来でTS-1+CDDPによる化学療法を施行中で、通常の社会生活に復帰している。乳癌や肺癌ではしばしば脳転移を認めるが、胃癌での脳転移は報告では0.4-0.7%程度であり、特に他臓器転移を認めない脳転移の報告は17例ときわめて稀である。