日本消化器内視鏡学会甲信越支部

69.内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にて確定診断した直腸粘膜下腫瘍の一例

新潟県立 吉田病院 内科
水野 研一、中村 厚夫、八木 一芳、関根 厚雄
新潟大学医歯学総合病院 病理部
梅津 哉

症例は75歳女性。便秘症にて当科外来を定期受診されていた。スクリーニングにて施行した注腸検査にて直腸(Rb)に15mm大の隆起性病変を指摘された。下部内視鏡検査にて直腸(Rb)に約15mm大の頂部に陥凹を有する粘膜下腫瘍を認めた。超音波内視鏡では第2層から第3層を主体とする均一で境界明瞭な低エコー性腫瘤として観察された。全身の検索としてCT及び腹部エコー、上部内視鏡検査を施行したが特に異常は指摘されなかった。直腸カルチノイド腫瘍を疑い生検を行ったがリンパ球の強い浸潤を認めるのみで腫瘍性の変化はなく免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子再構成の検索を行ったがmonoclonalityは認めなかった。生検組織では悪性の変化は認められなかったが、内視鏡およびEUS上でもカルチノイド腫瘍やMALTリンパ腫との鑑別は困難であり、患者と相談の上、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)にて一括切除し確定診断を得る方針となった。ESDでは粘膜下層の線維化は殆ど認められず、通常のESDと同様の処置で一括切除し得た。ESD切除標本の組織では粘膜下層を中心に増殖したリンパ濾胞で腫瘤は形成されており、構成するリンパ球には異型性は認められなかった。またIgH遺伝子再構成の検索を行ったがmonoclonalityは認めなかった。以上の結果より良性リンパ濾胞性ポリープと診断した。良性リンパ濾胞性ポリープは内視鏡的にカルチノイド腫瘍やMALTリンパ腫と鑑別が困難なことも多く、ESDによる一括切除が診断確定に有用であると考え若干の文献的考察を加えて報告する。