日本消化器内視鏡学会甲信越支部

67.入院数からみた潰瘍性大腸炎、クローン病患者のQOL DPCデータによる解析

社会医療法人財団慈泉会 相澤病院
久保田 大輔

【背景】潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)は主として若年で発症し慢性の経過をとることから患者のQOL(Quality of Life)を低下させる疾患である。しかし、日本のUC,CD患者のQOLが実際にどの様に低下しているかについてのデータは少ない。【目的】UC,CD患者の入院の実態を解析する。【方法】診断群分類包括評価(DPC)のデータをもとに入院数、入院年齢、在院日数を解析する【成績】平成21年7月から12月の6ヶ月の間に退院した患者について解析した。データメ[スとしてグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのDPCデータベースを用いた。6ヶ月間毎月のデータがそろっていたのは317病院、ベッド数合計126,348床であった。これは日本の全一般病床数913,234床の13.84%にあたる。入院数はUC 1284人(延べ1428回)CD 1150人(延べ1729回)であった。UC患者の入院のうち1084人(84.42%)は期間内に1回のみ、残りは複数回入院していた。CD患者では746人(64.87%)が1回のみの入院であった。入院年齢はUCで44.5±19.8歳(平均±SD 以下同)CDで34.1±13.5歳であった。在院日数はUC 28.3±28.4日、CD 23.7±26.8日であった。【考察】今回得られたデータが日本の全一般病床からランダムに抽出されたものと仮定すると、日本での6ヶ月間のUC患者入院数は 9280.7人、CD患者では 8312.1人と推定される。平成20年度の両疾患の難病登録件数(UC 104,721件、CD 29,301件)を日本の全患者数として計算した場合、6が月の間に1度以上の入院を要する確率はUCで8.86% CDで28.4%であった【結論】UC,CD患者は高い入院リスクがあり、入院がQOLを著しく損なっていると考えられる。