若年未婚女性の難治性潰瘍性大腸炎3例に対し,Sky Clinic天野國幹医師の漢方薬治療を行い,3例とも有効であったので報告する。【症例1】15歳・女性。UC発症後 2年,全大腸炎型,慢性持続型,投与時重症。治療歴は5-ASA 2250mg/day,PSL5~30mg/day(離脱不能、増量効果なし),LCAP無効。若年女性,受験生のため免疫調整剤や入院治療は希望されず。同医の漢方内服2W後より粘血便減少し,2M後には症状消失,3M後には5-ASA ・PSL off,2Y後のTCSでは完全緩解であった。2Y4M現在,漢方1回/日のみ内服継続,体重は35kg→42kgへ増加,全身状態はきわめて良好で緩解を維持している。【症例2】29歳・女性。UC発症後6年,全大腸炎型,重症UCで2回入院歴あり,慢性持続型,投与時中等症。治療歴は5-ASA 2250mg/day,PSL10~60mg/day(離脱不能),柴苓湯9g/day,LCAPは軽度有効程度。若年未婚女性のため免疫調整剤や外科手術は希望されず。同医の漢方内服1M後には症状ほぼ消失,5M後には5-ASA ・PSL などすべてoffとなる。1Y10M現在,漢方2~3回/日のみ内服継続,時に軟便になるが全身状態きわめて良好で緩解を維持している。【症例3】28歳・女性。UC発症後12年,全大腸炎型,慢性持続型,投与時中等症。治療歴は5-ASA 1500mg/day,PSL5~40mg/day(離脱不能),イムラン50mg/day,5-ASA 注腸うまくできず,5-ASA 4000mg/dayは軽度有効程度,LCAPは未施行。若年未婚女性,ステロイド&免疫調整剤依存性,慢性持続型UCのため外科治療も考慮されたが,まずは漢方治療をすすめた。同医の漢方内服約1M後に症状ほぼ消失,3M後には5-ASA ・PSL ・イムランすべてoffとなる。10M現在,漢方1回/日のみ内服継続,体重は増加し全身状態はきわめて良好で緩解と考えられる。【考察】症例2・3では2年後の効果判定のTCSは未施行であるが, 3例とも漢方薬で緩解導入に成功し,漢方薬のみで緩解を維持している驚くべき症例である。同漢方薬は副作用も少なく,若年未婚女性の難治性潰瘍性大腸炎に対して極めて有用な治療法になると考えられる。