日本消化器内視鏡学会甲信越支部

62.Gilbert症候群を伴った結腸癌の1例

新潟県立がんセンター新潟病院 内科
栗田 聡、佐々木 俊哉、船越 和博、本山 展隆、加藤 俊幸

体質性黄疸のひとつであるGilbert症候群は、家族性非溶血性黄疸で肝臓におけるグルクロン酸抱合が障害され間接型ビリルビンが上昇する疾患である。多くの抗癌剤は肝臓で代謝されるため担癌患者では抗癌剤の選択に苦慮することがある。

症例は66歳の女性。17歳時に体質性黄疸と診断されていた。2005年6月の検診で胸部レ線に異常から両肺転移が発見された。CEA 14.5ng/mlと高く、原発巣は大腸鏡でS状結腸癌と確診された。肝転移や肝障害はなかったが、総ビリルビン8.0mg/dl、直接ビリルビン0mg/dlの間接ビリルビン優位の黄疸を認め、低カロリー食試験で陽性を示したことからGilbert症候群と診断された。

結腸癌はss,ly2v3n1,StageIVであったため、結腸切除後にS-1を100mg/日内服する術後化学療法が開始された。CEA 2.4ng/ mlまで下降し肺転移は縮小したが、総ビリルビンは最高23.7mg/dlまで上昇し、とくにS-1の4週間内服中に上昇し2週間休薬で減少した。Gilbert症候群で欠乏している酵素UGTsに依存する抗癌剤による作用であったが、1日500calの経口栄養補給を併用することにより上昇を防ぐことができた。S-1単独13コースでPDとなり、2007年からmFOLFOX6に変更したが、発疹と神経毒のため中止された。他の抗癌剤も検討したが、患者家族の希望により2008年からBSCとなった。その後も間接ビリルビンは10mg前後が持続したが、QOLに支障はなかった。その後、2010年に脳転移が発見され放射線療法を行ったが、脳・肺転移により死亡した。死後肝生検をご家族の同意を得て施行できたが、特別な所見は認められなかった。大腸癌を合併したGilbert症候群の患者では、抗癌剤や栄養状態による著明な黄疸の報告があり注意を要する。