日本消化器内視鏡学会甲信越支部

53.小腸カプセル内視鏡読影ネットワークの運用と現況

新潟大学 医歯学総合病院 光学医療診療部
横山 純二、河内 裕介、小林 正明、成澤 林太郎
新潟県立新発田病院 内科
夏井 正明
済生会新潟第二病院 消化器内科
本間 照
厚生連長岡中央綜合病院 消化器内科
富所 隆、佐藤 知巳
下越病院 内科
山川 良一
新潟大学医歯学総合研究科 消化器内科
青柳 豊

【背景】小腸カプセル内視鏡(VCE)が原因不明の消化管出血(OGIB)に対して保険収載され3年が経過した。しかし、新潟県内においては、読影の煩雑さや読影医の負担増加などの理由でVCE読影に習熟している医師も少なく、導入が進んでいないのが現状である。当院では2008年10月にオリンパス社製カプセル小腸内視鏡(Endo Capsule)を導入し、2010年8月現在67件のVCEを施行した。しかし、遠隔地からの紹介患者も多く、検査施行時期の遅れによる出血診断率の低下や、患者に対する負担増加などデメリットが多かった。【目的】県内におけるVCEの効率的な施行と読影能力の向上を目指し、当院を中心とした読影ネットワークを構築した。現況と今後の課題について報告する。【方法】現在、関連3施設(下越地区2、中越地区1)との間で読影支援を行っている。運営手順は、1) ワークステーションを有する各施設においてVCEを施行(場合によっては、当院に相談のあった症例をより近郊の関連施設に紹介して施行)。2) 施行施設にて一次読影後、画像を患者情報とともにUSBメモリに収め、当院へ配送。3) 当院にて二次読影を施行し、USBメモリに収め返送。二次読影は当院勤務の内視鏡専門医2人で行っている。【成績】2009年3月から試験的に運用を開始し、2010年8月までに41件の二次読影を行った。施行理由のうちOGIBは28件で、28件中の有所見率は15件(53.6%)、小腸からの活動性出血は9件(32.1%)に認められた。【結論】読影ネットワークの穀zにより、患者紹介からVCE施行までの期間が省略・短縮され、患者の負担軽減および診断率の向上に寄与している。また、有所見時の対応や治療必要時の患者紹介などの連携もスムーズに行うことが可能となりつつある。今後、各施設での読影迫ヘの向上と、県内でのVCE普及に貢献することが期待される。