日本消化器内視鏡学会甲信越支部

48.若年発症クローン病のインフリキシマブ早期投与の有用性-当院の使用状況を含めて-

山梨県立中央病院 消化器内科
津久井 雄也、小嶋 裕一郎、岩本 史光、廣瀬 純穂、吉田 貴史、細田 健司、鈴木 洋司、細田 和彦、廣瀬 雄一、望月 仁、小俣 政男

若年発症クローン病のインフリキシマブ早期投与の有用性が示唆されており、当院で経験した2例を報告するとともに、当院でのインフリキシマブの使用状況を検討した。

症例1は13歳、女性。主訴は腹痛、体重減少。2008年8月当院小児科入院。痔ろうを認め、大腸鏡検査で終末回腸、上行結腸、横行結腸に潰瘍と狭窄所見があり、クローン病と診断した。ED療法、5ASA製剤を投与するも十分な効果が得られなかったため、発症後2カ月後にインフリキシマブを導入。6-MPも併用し、継続投与。潰瘍、狭窄は改善し、その後2年間粘膜治癒が得られている。

症例2は13歳、女性。主訴は発熱、下痢。2008年1月当院小児科入院。大腸鏡検査で終末回腸に縦走潰瘍、S状結腸にびらんがあり、クローン病と診断した。ED療法、5ASA製剤投与開始、6MPを併用し退院となった。2008年8月および2009年1月の大腸鏡検査で潰瘍の残存があったため、発症13カ月後にインフリキシマブを導入した。その後潰瘍は消失し、粘膜治癒が得られている。

現在当院では51例のクローン病患者を加療しているが、そのうち30例にインフリキシマブを導入している。発症後2年以内投与例が9例と早期導入率が高くなってきている。当院のクローン病の治療状況、インフリキシマブの使用状況についても、文献的考察を加えて報告する。