【症例】4歳女児。腹痛、嘔吐にて初診。血液検査にて肝機能障害、膵酵素高値。腹部エコーにて総胆管拡張を認めた。急性膵炎の診断のもと緊急入院となり、絶飲食、補液、抗生剤、膵酵素阻害薬にて治療が開始された。入院後のCT,MRCPでは総胆管膵管拡張・膵胆管合流異常と主膵管内に透亮像を認めた。保存的治療により膵炎は軽快し第14病日に、全身麻酔下、JF-240を用いてERCPを施行した。ワイヤーガイドカニュレーションを行った造影にて、長さ30mm直径9mmの共通管とそこに合流する最大径30mmの嚢腫状に拡張する総胆管を認めた。また共通管から主膵管にかけての内腔に20mm×9mmの透亮像を認めた。6mmバルーンにてEPBDを行い、バスケット鉗子にて蛋白栓を把持除去した。術後の合併症はなくERCP施行後39日目に、拡張胆管・胆嚢切除、肝管空腸吻合術を施行し、また術中造影にて膵管内の透亮像は認められなかった。
【考察】膵胆管合流異常の外科手術を行う際、近位胆管切開による処置では膵管内の蛋白栓の除去を行うことは困難が多く、術後のQOLにしばしば影響を与える。今回、我々は外科手術に先行し内視鏡的治療にて主膵管内の蛋白栓を除去し得た、膵胆管合流異常の1例を経験したので、症例の提示を行うとともに若干の文献的考察を行う。