日本消化器内視鏡学会甲信越支部

39.肝機能異常を契機に診断したIPMCの1例

新潟県立吉田病院 内科
中村 厚夫、水野 研一、八木 一芳、関根 厚雄
新潟県立吉田病院 外科
岡本 春彦、小林 和人、小野 一之、田宮 洋一

50歳代女性、既往歴、30歳代胆嚢摘出術、40歳代ASD手術。2010年5月末、上腹部痛にて近医受診、AST 68 ALT 54 ALP 456 γGTP 282と肝機能異常を認め当科外来紹介受診。US、CT、MRCPで明らかな異常は指摘できなかったが総胆管結石の可能性は否定できず6月中旬ERCP目的に入院した。ERCP時主乳頭は開大していた。膵管内は粘液と考えられる透亮像を認め、膵液細胞診はclassIIIであった。IDUSを行うと膵頭部に7.7x11.9mmの嚢胞を認め5mmの結節が疑われた。また主膵管は低エコー層が内側に認められ一部は腫瘍様に隆起していた。EUSも主膵管粘膜の肥厚が疑われ、嚢胞は確認できたが嚢胞内の結節は確認できなかった。膵管鏡を行い主膵管に血管像を伴わないイクラ状の隆起を認め、生検はadenocarcinomaであった。Intraductal papillary-mucinous carcinoma(IPMC)と診断し8月中旬、当院外科で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った。病理診断はIPMC、18x25mm、ly0、v0、ne0、リンパ節転移は認めなかった。嚢胞径も小さく、主膵管の拡張も軽度なIPMCの1例を経験した。ERCP、IDUS、膵管鏡が診断に有用だった。