日本消化器内視鏡学会甲信越支部

31.当院における10mm径EPBD後偶発症の検討

山梨県立中央病院 消化器内科
廣瀬 純穂、望月 仁、岩本 史光、津久井 雄也、吉田 貴史、細田 健司、鈴木 洋司、細田 和彦、小嶋 裕一郎、廣瀬 雄一、小俣 政男

【目的】

最近、乳頭機能温存を目的として乳頭バルーン拡張術(以下EPBD)が頻用されつつあり、当院に於いても2009年より乳頭切開術(以下EST)に代わりEPBDを主に用いるようになった。EPBDはESTと比べ術後膵炎の合併が多くまた結石の除去に困難を伴うことが多いとされている。拡張に際し8mm径バルーンを用いている施設が多いが、当院では砕石・砕石の確実性のため当初より10mm径バルーンを用いて拡張している。

今回は当院における10mm径EPBD後偶発症を検討した。

【方法】

2009年9月〜2010年8月の1年間。当院においてERCPを施行した161症例のうち10mm径EPBDを行った43例についてCottonの診断基準に基づき、急性膵炎、出血、穿孔、胆管炎、バスケット陥頓について検討した。

【結果】

10mm径EPBDにより砕石・砕石を行った43例のうち3例(6.9%)に軽症膵炎をみとめたのみで、いずれも短期の保存的治療により軽快した。治療成績も良好であり、その他の出血、穿孔、胆管炎、バスケット陥頓はみられなかった。

【考察】

当院における10mm径EPBDの偶発症は既存の報告と比べ高いとは言えない。これまでの当院EST症例と比較しまた、文献考察を加え報告する。