日本消化器内視鏡学会甲信越支部

27.B型肝細胞癌術後の多発肺転移に対し胸腔鏡下肺切除術が長期予後改善に有効と思われた1例

佐久総合病院 内科
渡邉 琢也、古武 昌幸、高松 正人
佐久総合病院 呼吸器外科
山本 亮平
佐久総合病院 内科、佐久総合病院 呼吸器外科
比佐 岳史

当院初診時40歳台男性。27年前の検診でB型肝炎を指摘され,7年前の人間ドックにて肝腫瘍を指摘された。同年に他院でS4の肝細胞癌と診断され肝部分切除術を施行された。以後再発なく外来にて経過観察されていたが、当院初診2か月前の会社検診にて胸部レントゲン上異常陰影を指摘され当院内科紹介となった。CT上両肺に複数の境界明瞭な結節影を認め、肝細胞癌の多発肺転移と診断した。肝に癌病変は認めなかった。推奨すべき化学療法はないと考えられ呼吸器外科紹介。呼吸機能は良好であり一期的肺切除可能と判断し、胸腔鏡下左上葉部分切除および右上葉部分切除+下葉切除術を施行した。病理標本は肝細胞癌に矛盾しなかった。術後3か月のCTで右上葉に3mm大の結節が新たに同定された。術後18カ月現在結節径は4.5mmとやや増大を認めるものの、肝には再発なく経過している。肝癌の多発肺転移に対し,転移巣の可及的切除を施行し18か月良好なQOLを保っている。