日本消化器内視鏡学会甲信越支部

22.非がん診療連携拠点病院での肝疾患診療におけるコメディカルとのチーム医療の有用性

千曲中央病院 内科
宮林 千春、大西 雅彦、窪田 芳樹、東海 康太郎、及川 治、山崎 誓一、片倉 正文、大西 禎彦
千曲中央病院 検査科
根石 政男
千曲中央病院 放射線科
小田切 教彦、宮崎 祐司
千曲中央病院 看護部
聖沢 愛子、内海 幸子
信州大学医学部画像医学講座(附属病院放射線科)
大怐@歩、藤田 幸恵、山田 哲、渡辺 智治、角谷 眞澄

【はじめに】一般市中病院における肝疾患診療は限られたマンパワーのもとで行われており、肝炎ならびに肝癌(HCC)診療を担う人材育成や環境整備も難しい状況にある。このため当院では肝疾患診療を共同で行うことを通じ、コメディカルを育成しながら実診療にあたっている。【目的】肝疾患診療におけるコメディカルとのチーム医療の有用性について検証した。【方法】インターフェロン(IFN)療法を開始した1995年から外来看護師1名をIFN担当中心看護師とし、投与中の血算、副作用のcheckerとした。肝臓外来を開設した1996年以降、臨床検査技師1名を肝疾患初診患者のスクリーニングおよびHCCハイリスクグループの精査超音波検査の担当とした。また、超音波下処置(RFA、PTCD、PTGBD、PTAD等含む)には助手として参加させ処置、加療を共同で行った。HCCに対する肝動脈塞栓術(TAE)を含むインターベンション(IVR)においては、術中・術後を管理することができる放射線技師2名およびIVR看護師4名を育成した。【結果】それぞれのコメディカルに長野県内および全国研修会、研究会に参加させ、知識の習得と標準的看護、助手手技の会得向上を図った。年間肝疾患超音波件数(初診+ハイリスク)321件(HCC発見率:初診群6.6%、ハイリスク群5.7%)であり、超音波下処置総計151件(RFA 68件、PTCD + PTGBD + PTAD 等83件)、IFN導入総計96件、腹部血管造影総計238件(うちTAE 156件)をそれぞれのコメディカルと共同で行った。いずれの処置、加療においても重篤な事故、合併症は起きていない。【結論】市中の非がん診療連携拠点病院において、肝臓専門医1名での肝疾患診療は限界があるが、コメディカルの参加により治療患者数の増加と治療の質の向上が見込まれる。ことに経過の長い肝疾患では常勤のコメディカルを育成し、チームで診療することが、安全で患者および地域に信頼される医療を生むことになる。