日本消化器内視鏡学会甲信越支部

13.食道気管支瘻を呈した非ホジキンリンパ腫の1例

都留市立病院 内科
小林 洋一、保坂 稔、山崎 玄蔵、渡辺 千尋、鈴木 正史

症例は80歳男性。平成21年11月より6kgの体重減少と嚥下困難が出現し近医受診。右下肺野に肺炎像を認めた。上部消化管内視鏡検査を施行したところ中部食道に広範かつ下掘れの深い潰瘍性病変を認め、深部に気管支様粘膜が観察された。また気管支鏡検査を施行すると、右主気管支以下の気管支構造は破壊されており食道気管支瘻が示唆された。また、胃穹隆部にも、潰瘍底の平滑な潰瘍性病変を認めた。同部及び食道の潰瘍性病変よりの生検の病理組織ではB細胞マーカー(CD20)が陽性であり、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断となった。可溶性IL-2レセプターは3423U/mlと増加していた。非ホジキンリンパ腫Ann-Arbor病期分類4期で、International Prognostic Index(IPI)はhigh riskであった。絶食とし中心静脈栄養を行うとともにCHOP療法を開始。腫瘍の急激な縮小による気管支食道瘻の増悪を考え、通常量の1/5量より1/2量まで漸増しながら、現在までに計9回施行している。全身のリンパ節は縮小し、可溶性IL-2レセプターも1379U/mlまで低下。上部消化管内視鏡検査でも瘻孔の著明な縮小を認め、PRと考えられた。悪性リンパ腫による食道気管支瘻の形成は稀であり、また悪性腫瘍による食道気管支瘻の形成は一般に予後が悪いと考えられているが、化学療法が奏功し食道潰瘍と食道気管支瘻の改善を認めた症例を経験したので、考察を加えながら報告する。