日本消化器内視鏡学会甲信越支部

5.大腸ポリープに対するcold polypectomyとconventional polypectomy(hot polypectomy)の有用性の比較

昭和伊南総合病院 消化器病センター
一瀬 泰之、堀内 朗、梶山 雅史、上島 哲哉、加藤 尚之

目的:欧米では、高周波電流を使用せずポリペクトミースネアのみで大腸ポリープを除去するcold polypectomyが広く行なわれている。本研究の目的は、通常の高周波電流を使用したconventional polypectomyとcold polypectomyの有用性について比較検討した。方法:最大8 mmまでの大腸ポリープを有する患者をcold polypectomy (cold group)とconventional polypectomy (conventional group)の2群に無差別に分け、患者背景、治療時間、除去されたポリープの部位、サイズ、ポリープの病理組織所見、偶発症およびポリペクトミー後2週間以内の消化器症状について評価した。結果:検討された症例は64例:cold groupは、N = 32(94ポリープ)、またはconventional groupは、N = 32(92ポリープ)。2群間に患者背景および除去されたポリープについては有意な差はなかった。治療時間では、cold groupがconventional groupに比べて有意に短かった(18分間対25分間 p = 0.03)。2群間においてポリープの完全除去率には有意差はなかった。2郡において止血を必要とするような出血症例およびその他の偶発症は1例も認めなかった。また、Cold groupでは、conventional groupに比べてポリペクトミー後の消化器症状は有意に少なかった(3% vs 25%,p=0.023)。 結論: Cold polypectomy はconventional polypectomyに比べて有意に治療時間が短く、2週間以内の消化器症状の発生も少なかった。