日本消化器内視鏡学会甲信越支部

3.ERCP後膵炎予防における膵管ステントの有用性の検討

山梨大学
村岡 優、高野 伸一、深澤 光晴、門倉 信、高橋 英、進藤 浩子、佐藤 公、榎本 信幸

【目的】ERCP後急性膵炎は、最も多いERCP偶発症であり時に致死的である。膵炎の原因のひとつとして、十二指腸乳頭の浮腫などによる膵液の流出障害が関与しているとされ、近年膵管ステントがその予防に効果的との報告が見られる。今回我々は、ERCP後膵炎の実態及び膵管ステントの予防効果について検討した。【対象と方法】検討1として当科で2009年1月から2010年8月までに施行したERCP427例を対象とし、ERCP後偶発症の内容及び頻度について検討した。検討2として胆管挿管を目的としたERCP症例339例を対象とし、ERCP後膵炎に関与する因子を多変量解析にて同定した。また、そこで導かれた因子に対して膵管ステントの膵炎予防効果について検討した。検討3として、当科で経験したERCP後重症膵炎の2例について考察した。ERCP後偶発症の定義および重症度は、Cotton’s criteriaによって判定した。【結果】ERCP427例で発生した偶発症は103例で見られ、膵炎は13例(3.04%)、高アミラーゼ血症77例(18.3%)、出血4例(0.94%) 、穿孔1例(0.23%) 、胆管炎4例(0.94%)などであった。胆管挿管を目的として行ったERCP323例を対象とした膵炎の危険因子では、膵管ガイドワイヤー法での挿管が多変量解析にて抽出された(オッズ比7.29, p=0.032)。また、膵管ガイドワイヤー法にて胆管挿管を試みた47例について検討すると、膵管ステントを留置した32例では膵炎の発生はなく、膵管ステントを留置しなかった15例中3例でERCP後膵炎を発症し、うち2例は重症急性膵炎であった。【考察】膵管ガイドワイヤー法で胆管挿管を試みる症例は胆管挿管困難例であることがほとんどであり、ERCP後膵炎予防のためには膵管ステントを積極的に留置することが望ましいと考えられる。