日本消化器内視鏡学会甲信越支部

26.4年間で形態変化した盲腸Inverted Hyperplastic Polypの1例

佐久総合病院 胃腸科
篠原 知明、堀田 欣一、小山 恒男、宮田 佳典、友利 彰寿、高橋 亜紀子、北村 陽子

【症例】患者は60歳代の男性。4年前の大腸内視鏡検査で、盲腸に小さな凹みを有する大きさ3mm大の微小IIa型ポリープを認めた。II型pitからなる過形成ポリープと診断され経過観察となった。

【大腸内視鏡所見】盲腸の病変は頂部に境界明瞭な類円形の陥凹局面を形成し、IIa+IIc様の形態に変化した。陥凹面は透明な粘液で覆われていた。空気量により形が容易に変化する軟らかい病変だった。

NBI拡大観察で辺縁隆起部は佐野分類CP type I、陥凹内部はII型pit様構造や微小絨毛状構造を認めた。内視鏡的に腫瘍を否定できず、診断目的にEMRを施行した。【病理組織所見】ルーペ像では陥凹縁で粘膜筋板が内翻し、フラスコ状の陥凹を形成していた。隆起から陥凹部の粘膜内に腺底部優位な内腔拡張を伴う鋸歯状腺管を認め、大きさ5×4mmのSessile Serrated Adenoma/Polyp (SSA/P) / Inverted hyperplastic Polypと診断された。

【結語】4年間で明瞭な陥凹局面を形成したInverted Hyperplastic Polypの1例を報告した。