症例:70歳代男性。現病歴:前医で施行のTCSで上行結腸にIs+IIa病変を指摘され、経過観察目的で当科へ紹介された。内視鏡所見:上行結腸に結節状隆起を伴う白色調の平坦隆起性病変を認めた。
平坦隆起部の境界はやや不明瞭で大きさは約20mmであった。IC撒布及びCV染色下拡大観察にてIIa部にはII型の、Is部にはIIIL型から一部VI型の軽度不整pitを認めた。IIa部は大きさが10mm以上のいわゆるlarge HP、Is部は粘膜内癌と診断した。以上よりlarge HPに合併した粘膜内癌と診断しEMRを施行した。病理所見:IIa部は平滑で、表面は類円形の細かなpit構造であった。Is部では凹凸のある結節の集簇から成り、表面は大小不同な管状pit構造であった。組織学的にIIa部はSSA/Pであったが、Is部は高分化型腺癌で口側部で粘膜下層へ400μm浸潤していた。最終診断はadenocarcinoma in SSA/P, A, Is+IIa,tub1 > tub2 with SSA/P component, pSM1(400μm), ly0,v0, INFa,HM0,VM0, 23x20mm in 25x24mmであった。
考察:最近SSA/Pからの発癌経路(serrated pathway)の存在が考えられているが、本症例はSSA/Pの一部にSM癌を認め、serrated pathwayを介した大腸癌への発育進展の可能性が考えられた。