日本消化器内視鏡学会甲信越支部

24.乳頭からの生検にて確診がえられた膵石合併の自己免疫性膵炎の一例

新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野
林 和直、早川 雅人、冨樫 忠之、横山 恒、塩路 和彦、高村 昌昭、佐藤 祐一、青柳 豊

【症例】50歳代男性。他院にてアルコール性慢性膵炎で経過観察中されていた。腹部CTを施行したところ慢性膵炎によると思われる膵石以外に膵腫大を認め当院紹介となった。CT所見として膵腫大以外に、膵周囲の被膜様構造、胆管壁の肥厚も認めたためAIPを疑った。血液検査を施行したところIgG 3265mg/dl,IgG4 1800mg/dlと上昇を認めた。ERPで膵管は膵石による透亮像とその尾側膵管の拡張を認めAIPに特徴的な膵管狭細像は得られなかった。ERCでは右肝管起始部の狭窄以外に変化を認めなかったが、IDUSで下部胆管にびまん性に胆管壁の肥厚を認めた。ERCP時に十二指腸主乳頭の発赤・腫大を認め、生検でIgG4陽性の形質細胞を主体とした炎症細胞浸潤を確認。以上よりAIPと診断しプレドニゾロン30mgから投与を開始した。投与後3週間のCTで膵腫大、胆管壁の肥厚の改善を認め、IDUSでも胆管壁肥厚の改善を認めた。IgG も2167mg/dlと低下していた。【結語】膵石により膵管像の評価は行えなかったが、血液検査,IDUSの所見に加え十二指腸主乳頭の生検でIgG4陽性形質細胞浸潤を認めAIPと診断しえた症例を経験した。