日本消化器内視鏡学会甲信越支部

23.迷入した片側pigtailの脱落型膵管ステントを内視鏡的に抜去できた一例

松本協立病院
芹澤 昌史、富田 明彦

【症例】85歳女性【主訴】発熱【現病歴】平成21年11月1日より38℃台の発熱があり、改善しないため11月5日当院を受診した。血液検査及び腹部単純CT検査により、胆石若しくは膵石が乳頭部に嵌頓した状態と考えERCPの方針となった。ERCPでは膵管挿管しかできなかったため、まずは片側pigtailの脱落型膵管ステントを挿入しようと試みた。しかし挿入中の体動と腸蠕動で一瞬内視鏡の視野を失い、ステントの大部分が挿入されてしまいガイドワイヤー抜去とともにその全体が膵管に吸い込まれるように迷入した。

【入院後の経過】11月12日、迷入した膵管ステントの回収を図った。pigtailが巻いたこともありさらにステントは奥に入り、バルン、バスケット鉗子、スネア、生検鉗子などを挿入したが、いずれの方法でも回収が不可能であり断念した。11月25日、血管造影用の異物回収deviceを2種類用意して臨んだが、やはりステントを把持することができなかった。結局いくつかの鉗子を挿入し、最終的に鰐口型把持鉗子(オリンパスFG−6L−1)がなんとか膵管内で開くことができステントを把持することができ抜去に成功した。