日本消化器内視鏡学会甲信越支部

20.胆嚢癌浸潤による胆管十二指腸浸潤に対して内視鏡的ダブルステンティング が有効であった1例

山梨大学 医学部 第1内科
深澤 光晴、高野 伸一、門倉 信、進藤 浩子、高橋 英、深澤 佳満、佐藤 公、榎本 信幸

73歳女性.閉塞性黄疸(Bil 7)を認め緊急入院となる.CTで胆嚢癌の胆管,十二指腸浸潤,肝転移と診断した.ERCPに先行して上部内視鏡を行ったが,癌浸潤による十二指腸狭窄のためスコープは通過しなかった.PTBDを選択,B3より穿刺を試みたが拡張軽度であり不成功に終わった.右葉は穿刺ラインに腹水が存在し,PTBDを断念した.黄疸は増悪し,Bil14まで上昇した.十二指腸ステント後に経乳頭的ドレナージを行う方針とし,20mm径uncovered Niti-SステントをThrough the scope法で下行脚に留置し,2日後に経乳頭的ドレナージを試みた.十二指腸ステントは拡張不十分で側視鏡が通過困難であったため,20mm径CREバルーンでステント内より狭窄部を拡張後,狭窄部を通過し経乳頭的に手技を行った.スコープが狭窄部に固定され胆管挿管が困難であったが,膵管ステント留置下にプレカットを行い胆管挿管に成功した.EST追加後,uncovered WallFlex Stentを留置した.経口摂取可能となり,減黄後に化学療法(GEM+S-1)を開始,その後外来通院が可能となった.進行癌による胆管十二指腸閉塞に対してダブルステンティングは低侵襲であり,QOL改善を目的とした緩和治療として有効であると考えられた.