日本消化器内視鏡学会甲信越支部

18.小腸出血性ポリープの2例

新潟大学 医歯学総合研究科 消化器内科学分野
本田 穣、青柳 智也、土屋 淳紀、冨樫 忠之、須田 剛士、青柳 豊
新潟大学 医歯学総合病院 光学医療診療部
河内 祐介、横山 純二、成澤 林太郎
新潟大学 医歯学総合研究科 分子病態病理学分野
西倉 健
新潟大学 医歯学総合病院 病理部
梅津 哉
新潟県立吉田病院 外科
高橋 元子、岡本 春彦

カプセル内視鏡および小腸内視鏡で診断に至った小腸出血性ポリープの2例を経験した。

【症例1】60歳代男性.原因不明の消化管出血のため前医でカプセル内視鏡検査を施行。回腸からの出血を認めたため当科に紹介となった。ダブルバルーン小腸内視鏡にて回盲弁より約70cm口側に径4mm大のSMT様の隆起性病変を認めた。病変頂部の上皮は欠損しており、発赤した肉芽組織が露出していた。内視鏡的粘膜切除を行ったところ、病理組織検査でpyogenic granulomaと診断された。

【症例2】80歳代男性.黒色便、貧血のため前医に入院。小腸からの出血を疑われ当科に紹介となった。カプセル内視鏡で回腸にSMT様の隆起が認められ、間歇的に出血していた。同病変はシングルバルーン小腸内視鏡にて回盲弁より約70cm口側に径5mm大の頂部に発赤を伴う隆起性病変として認められ、出血のコントロール目的に回腸部分切除術を施行された。病理組織検査でpyogenic granuloma類似の組織を認められたが確診には至らなかった。比較的稀とされてきた小腸pyogenic granulomaは今後小腸内視鏡の発展に伴い報告が増加するものと思われる。文献的考察を加え報告する。