【症例1】80歳代,女性.2009年9月上旬に血便を主訴に当院に救急搬送となった.腹部造影CTにて回腸終末部に造影剤の血管外漏出所見を認めたため,経肛門的にシングルバルーン内視鏡(SBE)を緊急施行した.SBEでは回盲弁から約10cmの回腸に露出血管を認めたためクリップにて止血した.検査、治療以降の経過は良好であり,第10病日に退院となった.
【症例2】70歳代,男性.2009年10月中旬に血便を主訴に当院を受診した.来院時のCTでは明らかな活動性出血所見を認めなかったことから保存的に経過観察とした.しかし,入院当日の夜に再び血便を認めたため,腹部造影CTを再検したところ回腸終末部に造影剤の血管外漏出所見を認めた.SBEを緊急施行したところ,回盲弁から約25cmの回腸に噴出性出血を伴う潰瘍を認めたためクリップにて止血した.検査、治療以降の経過は良好であり,第10病日に退院となった.
【結語】下血・血便時の腹部造影CTは活動性出血の有無や出血部位の推定が可能であり治療法検討に不可欠な画像診断である.SBEによる緊急止血術は侵襲が少なく,有用な手段と考える.