日本消化器内視鏡学会甲信越支部

16.外科手術を実施した空腸巨大GISTの1例

山梨県立中央病院 消化器内科
岩本史光、小嶋裕一郎、廣瀬純穂、津久井雄也、吉田貴史、細田健司、鈴木洋司、細田和彦、廣瀬雄一、望月 仁、小俣政男
山梨県立中央病院 外科
芦澤直樹、鷹野敦史、三井照夫
山梨県立中央病院 病理
小山敏雄

症例: 59歳、男性。主訴:腹痛、腹部膨満感。現病歴: 2010年4月中旬より左季肋部の違和感が出現し、さらに腹部全体へと疼痛が広がり腹部膨満感も出現したため、4月下旬近医受診、腹部超音波検査で小児頭大の腫瘤を認めたため、同日当院紹介受診、即日入院となった。身体所見では腹部は著明に膨隆し、圧痛を認めた。検査所見ではWBC 20,000 /cmm, CRP 1.25 mg/dlであった。入院時CT検査では腹腔内に25x20x10 cmの腫瘤を認め、内部に壊死を思わせる造影されない部位と造影効果が比較的均一な充実部を認めた。また、腫瘍の一部は右鼠径部管に入り込み、ヘルニアを呈していた。画像所見より小腸GISTと診断した。MRIでは腫瘍内部および辺縁に拡張した静脈が走行し、空腸の一部が巻き込まれている所見であった。腹痛および腹部膨満感が強く、それ以上詳細な検査は不可能と考え、5月初旬当院外科で手術を実施した。組織学的にはspindle cell tumorでc-kit陽性でありGISTと診断した。CD34は陰性、MIB-1 indexは10 %未満であった。一部腫瘍は空腸の筋層に入り込んでおり空腸原発と考えられた。

近年GISTの報告多いが、20 cmをこえる報告は少ない。文献的考察を加えて報告する。