日本消化器内視鏡学会甲信越支部

15.当科で手術を施行した小腸腫瘍の検討

燕労災病院 外科
森岡 伸浩、島田 哲也、上原 智仁、中塚 英樹、宮下 薫

【背景】小腸腫瘍は稀な疾患である。近年、診断手段の進歩に伴い小腸腫瘍に対する診断能は著しく向上しているが、多くの場合進行した状態で発見されることが多い。当科で手術した小腸腫瘍を検討した。

【対象】2000年1月から2010年3月までの10年間に当科で手術を施行した小腸腫瘍17例を対象とした。

【結果】性別は男性10例(59%)、女性7例(41%)であった。年齢は34歳から74歳で平均年齢63歳であった。初発症状は腹痛24%、消化管出血18%、腹部膨満感18%であった。腫瘍部位は十二指腸が65%と最も多く、空腸24%、回腸12%であった。病理組織学的診断は癌(35%)、カルチノイド腫瘍(18%)、リンパ腫(18%)、carcinosarcoma(6%)、paraganglioma(6%)であった。

治癒切除(R0)が76.5%(14/17)であった。全体の5年生存率は41.7%であった。各腫瘍の5年生存率は癌16.7%、カルチノイド腫瘍100%、リンパ腫33.3%、GIST100%であった。

【まとめ】小腸腫瘍の組織診断では癌の頻度が高く、予後は癌・リンパ腫で悪く、カルチノイド・GISTで良い傾向であった。