日本消化器内視鏡学会甲信越支部

14.メソトレキセート内服中に発症した消化管濾胞性リンパ腫の1例

佐久総合病院 胃腸科
米澤 あづさ、堀田 欣一、小山 恒男、國枝 献治、宮田 佳典、友利 彰寿、高橋亜紀子、北村 陽子、篠原 知明

【症例】80歳台、女性。4年前より関節リウマチに対してメソトレキセートを内服中であった。心窩部不快感を自覚し、近医にて施行された内視鏡で、十二指腸下行脚に白色顆粒の集蔟を指摘され、生検で濾胞性リンパ腫と診断された。身体所見、血液生化学検査で明らかな異常は認めず、可溶性IL−2レセプター抗体は508 U/mlで正常範囲内であった。経口ダブルバルーン内視鏡では、十二指腸下行脚から空腸全域にびまん性に多発白色顆粒集簇を認めた。経肛門ダブルバルーン内視鏡では回腸に3箇所同色顆粒集簇を認めた。空腸および十二指腸下行脚、回腸から採取した生検にて粘膜固有層にリンパ濾胞様の異型リンパ球増殖を認め、CD10陽性であり、濾胞性リンパ腫grade 1と診断した。

腹部CTでは腸間膜、大動脈周囲にリンパ節腫大を多数認めた。骨髄穿刺にて骨髄浸潤はなく、Lugano国際分類stage II2と診断した。Rituximab併用化学療法を6コース施行し、CT上、リンパ節は著明に縮小していた。

【考察】メソトレキセートに関連する種々の病型の悪性リンパ腫が報告されているが、PubMed、医学中央雑誌で過去10年間で検索したところ、濾胞性リンパ腫の報告はなく、貴重な症例と考えられる。