日本消化器内視鏡学会甲信越支部

13.腸重積を契機に発見された回腸原発悪性リンパ腫の1例

長岡中央綜合病院 消化器病センター 内科
佐藤 知巳、佐藤 明人、福原 康夫、渡辺 庄治、富所 隆、吉川 明
長岡中央綜合病院 消化器病センター 外科
須田 和敬、牧野 成人、西村 淳、河内 保之、新国 恵也

49歳女性。腹痛を主訴に近医を受診、急性腹症の診断にて当科に紹介された。腹部CTにて上行結腸が横行結腸へ嵌頓しており、先進部に腫瘍の存在が疑われた。緊急に大腸内視鏡検査を施行したが、観察時には腸重積は解除されていた。回盲部に発赤調の表面不整な隆起性病変を認め、原因の腫瘍と考えられた。待期的に手術を行う方針として当科に入院。同CTにて腹腔内の著明なリンパ節腫大が認められ、生検でも悪性リンパ腫の病理診断が得られた。その後4日目に強い腹痛が出現、再び腸重積の状態となったために同日緊急手術となった。右側結腸の固定がゆるく、回盲部で回腸が嵌入していた。回腸の悪性リンパ腫を先進部として腸重積を呈したものと考えられた。重積を解除せず、そのまま右側腸切除を施行したが、同部位の80cm口側にも4cmほどの腫瘤を認め、併せて部分切除を行った。病理組織はいずれも回腸原発の非ホジキンリンパ腫(diffuse large B cell lymphoma)であった。経過良好にて術後第12病日に退院、現在は当院血液内科にてR-CHOP療法を施行中である。