日本消化器内視鏡学会甲信越支部

5.ESDを施行したBillroth-II法再建後残胃癌の検討

新潟大学医歯学総合病院 第三内科
橋本 哲、小林 正明、竹内 学、高野 明人、佐藤 祐一、青柳 豊
新潟大学医歯学総合病院 光学医療診療部
成澤 林太郎
新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子・診断病理学分野
渡辺 玄、味岡 洋一

ESDの技術的進歩により残胃吻合部上の病変も切除可能となったが、B−II残胃癌の内視鏡診断は必ずしも容易ではない。当科でESDを施行したB-II残胃癌の内視鏡像をB-I群と比較検討した。対象は分化型残胃癌32症例(34病変) (B-II:8病変、B-I:26病変)。局在(吻合部:左記以外) B-II(7:1)、B-I(1:25)。肉眼型(I or IIa:IIb or IIc): B-II(2:6)、B-I(23:3)。通常観察で境界診断困難病変の割合: B-II(6/8, 75%)、B-I(1/22, 4.5%)。B-II群ではB-I群に比べ、吻合部にかかり、平坦または陥凹を呈し境界不明瞭な病変の割合が有意に高かった。B-II群の病理組織像を検討すると、癌部・非癌部の高低差は乏しく、非癌部は炎症異型を伴うことより、通常観察で境界診断が難しい理由と推察された。境界診断困難であったB-II群7病変のうち6病変に対し、NBI拡大観察を併用した。病変内の網目様微小血管構造、腺管密度の上昇より、境界診断は可能であった。B-II残胃癌の境界診断において、NBI拡大観察は有用と考える。