高齢化社会が進むとともに嚥下性肺炎は増加傾向にあり、これを予防するチーム医療の果たす役割は大きい。当院では摂食・嚥下障害チームをたちあげ、平成18年より嚥下内視鏡検査(以下EES)を行っている。今回これまでの症例を検討し報告するとともに、今後内視鏡医が関わっていくうえで何が必要かを検討したい。
【対象】54例(男性36例、女性18例)、年齢51-97歳(平均79.9歳)【患者背景】脳梗塞及び脳梗塞後遺症44例、脳出血及び脳出血後遺症3例、ALS1例、慢性硬膜下血腫1例、肺炎1例、その他4例【方法】内視鏡専門医が経鼻内視鏡を用い、言語聴覚士と共に評価(摂食前の咽頭・喉頭所見の観察、口腔器官の動きの観察、食物摂取後の誤嚥の有無や食物残留の有無・程度の評価、摂食時の適切な姿勢や一口量の評価)を行う。【結果】1)経口摂取可(おやつ程度も含む)と判定した群;その後も経口摂取可:30例、経管・胃瘻・IVHへ移行:9例2)経口摂取不可と判定した群;その後経口可:1例、不可のまま胃瘻:14例【考察】EESは嚥下の瞬間は観察できないものの、被爆がなく比較的簡便に摂食物の嚥下状況を直視下に観察できる。嚥下機能の評価は項目が多岐にわたり煩雑だが、我々は誤嚥の可能性の有無を簡便に判断するためには、嚥下後残留物の付着部位を3ヵ所[A.喉頭蓋谷〜梨状窩周囲、B.喉頭の縁(口頭蓋喉頭面、披裂周囲)、C.喉頭内壁、声帯周囲]に分け観察することが有用であると考える。今後内視鏡医が関わる機会も多いと思われる手技であり、携わっていくには何が必要かを検討し、報告する。