日本消化器内視鏡学会甲信越支部

67.巨大食道異物(沢庵)をポリペクトミー用スネアによって切断・回収し得た一例

飯田市立病院 消化器内科
宮澤 一成、金子 靖典、持塚 章芳、岡庭 信司、中村 喜行
飯田市立病院 総合内科
白旗 久美子

症例は50代男性. 30代に胃潰瘍にて幽門側胃切除(B−I再建),40代にアカラシアにて手術歴(詳細不明)がある.7日前に沢庵をまる飲みしてから胸部不快感と嚥下時のつかえ感を自覚するようになり,食事摂取も不能となったために当院を受診した.透視下で上部消化管内視鏡検査を施行したところ食道下部に大きさ約6×2cmの巨大異物を認めた.回収ネットおよび五脚鉗子にて異物を回収しようとしたが食道入口部を通過せず,アカラシア術後のため胃内への押し込みも不可能であった.事前の問診により異物は食物(沢庵)であると考えられたことから,ポリペクトミー用スネアを用いて縦方向に10回にわたり通電・切断し全て回収できた.異物回収後に下部食道に熱傷によると思われるびらんを認めたが,穿孔などの偶発症はなく第3病日に退院となった.食物性の巨大異物に対しては,ポリペクトミー用スネアを用いた通電・切断も治療の選択肢になりうると考えられた.