日本消化器内視鏡学会甲信越支部

46.当院における超音波内視鏡ガイド下腹腔神経叢破壊術(EUS-CPN)の経験

JA長野厚生連 佐久総合病院 内科
松本 隆祐、比佐 岳史、古武 昌幸、高松 正人

【目的】癌性疼痛に対するEUS-CPNの効果と安全性を検討すること。【方法】2008年9月〜2009年9月の間、当院にて癌性疼痛(上腹部痛)に対しEUS-CPNを施行した7例の担癌患者を対象とし、背景、鎮痛効果、偶発症について検討した。鎮痛効果判定にvisual analogue scale(VAS)を使用し、治療後のVASが改善したものを有効、不変あるいは悪化したものを無効とした。また、効果判定時期を術後14日目および28日目に設定した。EUS-CPNの実際:コンベックス型超音波内視鏡を用いて経腹部食道あるいは経胃的に22G穿刺針で腹腔動脈起始部直上を穿刺し、0.25%ブピバカイン5-10ml、ヨード造影剤を混注した無水エタノール5-8mlを注入した。【結果】背景:膵癌4例、食道癌1例、胆管癌1例、原発不明扁平上皮癌1例。男女比4:3、平均年齢57歳(48-65)。平均治療回数1.14回(1-2)。すべての症例でオキシコドンまたはフェンタニル貼付剤を投与されていた。鎮痛効果:術後14日目では、有効6例、無効1例で、有効率は85%であった。術後28日目では有効2例、無効4例、評価前死亡1例で、有効率は33 %に低下した。一方、3例において上腹部痛は改善したが、下腹部痛が顕在化し、鎮痛剤増量を必要とした。偶発症:術中・術後において認められなかった。【結語】EUS-CPNの短期間の有効率および安全性は高い。しかし、上腹部以外の疼痛が顕在化する、長期間の有効率が低いなどの問題点を有する。