今回我々は膵近傍腫瘤で発見された濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma,以下FL)3例を経験したので画像的特徴を中心に報告する.【症例1】 62歳女性.2008年9月から背部張り感を認め当科紹介.US,EUSにて膵頭部にcystic massを認め,膵近傍嚢胞性腫瘤が考えられたが,腹部CT・MRIでは多血性腫瘤でありノルアドレナリン(以下NA)が997pg/mlと高値であったことからparagangliomaを疑い,腹腔鏡下膵腫瘍摘出術を行った.病理ではFL,grade1,Stage2Aであった.NAは術後改善しなかったが,s-IL2Rは正常で現在再発は認めていない.【症例2】 55歳男性.2008年11月検診USにて膵体部腫瘍,糖尿病(BS102mg/dl,HbA1c9.5%)を指摘され当科紹介.s-IL2R は正常であったが,CT,MRIでは複数のリンパ節腫大,脂肪織の肥厚,PETで同部に異常集積を認め、腸間膜原発悪性リンパ腫が疑われた.開腹リンパ節生検を施行し,FL, grade2,stage2Aと診断,化学療法を施行した.【症例3】 52才男性.2006年12月検診USにて膵体部にcystic lesionを認め当科紹介.s-IL2R719pg/mlと高値,腹部CT,MRIにて小腸間膜リンパ節腫脹,脂肪織濃度上昇,PETでも同部に異常集積を認め,悪性リンパ腫(以下ML)+腸間膜脂肪が疑われた.H19年1月開腹生検を施行し,FL, grade2,Stage2Aと診断.化学療法を施行した.近年EUS−FNAの普及とともに膵近傍腫瘤の質的診断を依頼される症例が増加している.ML(FL)はUS−EUSでcystic massと診断されることがあり,またCT,MRIでは多因性腫瘤として膵由来か診断に迷う症例も経験する.消化器内科領域では腸管原発のFLが注目されているが,膵近傍腫瘤のひとつとして念頭に置く必要があると思われ報告する.