日本消化器内視鏡学会甲信越支部

42.膵性胸水の3例

新潟県立
設楽 兼司、福成 博幸、馬場 裕信、松永 浩子、吉田 剛、林 哲二

【はじめに】膵性胸水は膵管または膵仮性嚢胞が後腹膜へ破綻し、腹部所見や炎症反応を伴わずに膵液が胸腔内へ漏出し貯留する病態である。術前画像診断にて主膵管破綻部とそれに連なる瘻管を確認し治療を行った膵性胸水の3例を経験した。【症例1】57歳男性。労作時呼吸困難と大量の左側胸水で入院。血清・尿中・胸水中AMYの上昇、腹部CTにて膵石と主膵管の拡張を認め膵性胸水と診断。MRCP・ERPにて主膵管より胸腔へ連続する瘻孔を確認しソマトスタチンアナログによる保存的治療を行った。【症例2】56歳男性。労作時呼吸困難から起座呼吸に陥って入院。血清・尿中・胸水中AMYの上昇、多量の左側胸水、腹部CTでは膵体尾部に不整なlow density areaと尾側膵管の拡張を認め膵性胸水と診断した。MRCP・ERPで主膵管から胸腔へ進展する瘻孔を確認し保存的治療を行ったが治癒せず膵体尾部切除術を施行した。【症例3】74歳男性。多量の左胸水貯留で入院。血清・尿中・胸水中AMYの上昇を認め膵性胸水と診断。腹部CT・MRCPで膵頭部から膵背側のSMA右側を上行し胸腔へ進展する瘻孔を確認し膵頭十二指腸切除術を施行した。