日本消化器内視鏡学会甲信越支部

29.下部胆管原発印環細胞癌の1例

相澤病院 消化器内科
海野 洋、白津 和夫、關 伸嘉、宮田 和信
相澤病院 外科
笹原 孝太郎、田内 克典
相澤病院 病理科
小見山 祐一、樋口 佳代子

患者は71歳、男性。2008年5月かかりつけ医にて肝機能障害を指摘され精査目的で7月上旬に当科に紹介された。来院時血液検査で胆道系酵素優位の肝機能障害、CEAおよびCA19-9の上昇を認めた。腹部CT、MRI, EUSでは膵上縁で胆管の途絶、膵頭部にわずかな遅延性濃染する境界不明瞭な腫瘤性病変を認めたが、膵管に異常を認めなかった。ERCPで下部胆管狭窄を認め、胆汁細胞診でClass V, adenocarcinomaを認めた。画像上明らかな転移、大血管のencacementを認めなかったため、8月上旬に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した。病理は平坦浸潤型の印環細胞癌で、十二指腸粘膜下、膵実質への浸潤を認めた。印環細胞癌は約90%が胃原発であり、肝外胆道系では0.7%と少ない。文献考察を加え報告する