日本消化器内視鏡学会甲信越支部

15.大腸内視鏡で先進部を確認後に緊急手術を施行した腸重積症の1例

町立辰野総合病院 外科
柘植 善明
町立辰野総合病院 内科
土屋 文夫、松崎 廉

 われわれは、大腸内視鏡で先進部を確認後に緊急手術を施行した大腸癌による腸重積症の1例を経験したので報告する。症例は79歳の女性で、主訴は腹痛、下痢です。現病歴は、2009年6月はじめから腹痛と下痢が出現し、6月11日に腹痛が増強したため、緊急入院した。現症は、右下腹部に5×5cmの圧痛を伴う腫瘤を触れ、血液検査で著明な貧血を認めた。腹部超音波および腹部CTで右下腹部にターゲットサインを呈する腫瘤を認め、腸重積症と考え、確定診断を得る目的で大腸内視鏡検査を行うと上行結腸に隆起性病変を認め、これが先進部と確認、腸重積症と診断した。内視鏡的整復が不可能であったため、6月12日に緊急手術を施行すると、回腸が上行結腸に重積しているのを確認し、用指的に整復可能であった。整復後、盲腸に腫瘍を触知したため、右半結腸切除術を行い、病理学的検査で盲腸に1型大腸癌を認め、以上より盲腸癌による腸重積症と診断した。