日本消化器内視鏡学会甲信越支部

6.イマチニブ不耐容・耐性GIST患者に対するスニチニブ治療

新潟大学大学院 消化器・一般外科学
神田 達夫、矢島 和人、松木 淳、小杉 伸一
北信総合病院 外科
畠山 勝義
長野赤十字病院 内科
藤森 芳郎
新潟大学大学院 分子細胞病理学
松田 至晃
兵庫医科大学 病院病理
大橋 瑠子
立川メディカルセンター PET画像診断センター
廣田 誠一

 【背景】イマチニブ不耐容・耐性GIST患者に対する第一選択薬としてスニチニブリンゴ酸塩(スーテント)が本邦にも導入された。【目的】当科におけるイマチニブ不耐容・耐性GIST患者に対するスニチニブ治療の成績を報告する。【患者】2009年8月までに当科でス二チニブ治療を開始した転移・再発性GIST患者11名。男性8名、女性3名、平均年齢は58.7歳。治療適応はイマチニブ一次耐性が1名、不耐が1名、二次耐性が9名であった。KIT遺伝子変異型は、エクソン9が4名、エクソン11が3名、野生型が1名、未検が3名であった。【方法】診療録をもとに臨床効果と安全性を分析した。【成績】抗腫瘍効果はPRが3名、SDが6名、PDが2名であった(奏効率27%)。11名中6名がPRないし22週以上のSDを示した(臨床的有効率55%)。治療開始後の無増悪期間の中央値は166日、生存期間の中央値は19か月であった。全11名の累積1年生存率は53%であった。11名全例においてグレード3の副作用が認められた。血小板減少と好中球減少が各6名ずつと最も多かった。11名中7名が副作用のため一時的な入院を必要とした。血栓性微小血管症の1名が治療関連死となった。【結語】スニチニブ治療はイマチニブ耐性GIST患者に対して相応の効果を発揮する。その一方、重篤な副作用も稀ではなく慎重な管理が必要である。