日本消化器内視鏡学会甲信越支部

37.直腸炎症状で発症した直腸MALTリンパ腫の一例

信州大学医学部附属病院 消化器内科
武田龍太郎、新倉則和、市川真也、長屋匡信、竹中一弘
信州大学医学部附属病院 内視鏡診療部
赤松泰次
信州大学医学部附属病院 第二内科
田中榮司

 症例は66歳女性。2008年3月より血便に気づき、しぶり腹や便が細くなる等の症状も出現したため同年5月に当院を受診した。下部消化管内視鏡の結果、直腸Rbに小潰瘍の多発と小隆起性病変を認め、生検の結果MALTリンパ腫と診断された。胸腹部CT、PET‒CT、骨髄検査の結果、直腸に限局した病変でありステージ1と診断した。放射線治療を行うこととし、2008年7月末より直腸病変に対してtotal 30Gyを照射した。同年10月に下部消化管内視鏡を再検したところ、直腸の病変は肉眼所見上、また生検組織上もリンパ腫の残存なく完全寛解と判断した。以後2009年2月の時点で局所再発、遠隔転移ともになく、再発は認めていない。