日本消化器内視鏡学会甲信越支部

32.結腸結腸型腸重積にて発症した乳児の若年性ポリープの一例

長岡赤十字病院 消化器内科
山田聡志、三浦智史、中村潤一郎、三浦 努、柳 雅彦、高橋 達

 症例は生後10ヶ月の男児。血便にて当院小児科に紹介入院、腹部超音波(以下腹部US)検査で回盲部の腸重積を疑われ、注腸整復を施行したが腸重積は解除されており、退院となった。しかしその後も血便を繰り返したため再入院となり腹部US検査にて下行結腸部にTarget signを認め、結腸結腸型腸重積と診断した。注腸整復ではすでに腸重積は解除されていたが、下行結腸に頚部を有する約15mmの腫瘤影と、腹部CT検査でも同部にやや造影効果を有する腫瘤を認め、それを先進部とする結腸結腸型腸重積と診断した。全身麻酔下にて大腸内視鏡検査を施行、下行結腸に発赤の強い16mmのIp型ポリープを認め、留置スネアを用いて切除した。病理組織学的に異型性のない拡張した腺管を認め、若年性ポリープと診断した。乳幼児期の腸重積はしばしば経験する疾患であるが、そのほとんどが器質的疾患を有しない回腸結腸型であり、結腸結腸型の腸重積は稀とされている。その中でも若年性ポリープを原因とする報告は年長児のものが多く、本来の腸重積症の好発年齢層である乳児での報告はほとんどされておらず、文献的考察を加えて報告する。