日本消化器内視鏡学会甲信越支部

26.膵管ステントが有効と考えられた出血性縦隔内膵仮性嚢胞の一例

昭和伊南総合病院
梶山雅史、中山佳子、一瀬泰之、上島哲哉、堀内 朗

【症例】75歳男性【主訴】上腹部痛【既往歴】慢性胃炎【飲酒歴】日本酒一合/日×55年間【現病歴】平成21年1月初旬より上腹部痛、2月初旬より全身倦怠感が出現したため2/23当科初診、3/2胸腹部CTにて大動脈弓レベルから膵体尾部レベルまで約23cmにわたる嚢胞性腫瘤を認め同日入院した。AMY 487IU/lと高値であった。絶食、gabexate mesilateにて自覚症状は3/8消失した。3/10MRCPにて、嚢胞性腫瘤は連続した一つの腔と診断した。3/13ERPにて造影剤は膵体尾部の嚢胞から頭側へ急速に流出した。5Fr.12cm膵管ステントを先端が嚢胞内に位置するように留置した。ステントから多量の血性膵液の流出が認められた。ERP直後の胸腹部単純CTにて縦隔内嚢胞が造影された。3/26MRCPにて腹部の嚢胞は著明に縮小していたが、縦隔内嚢胞の縮小率は比較的低かった。3/30退院。【考察】縦隔内膵仮性嚢胞は比較的稀な疾患であり、治療法は確立していない。経乳頭的ドレナージによる治療は、比較的侵襲が少ないと考えられる。若干の文献的考察を加えて報告する。