【目的】経十二指腸的ESBDの手技上の問題点を考察すること。
【方法】2009年3月までに経十二指腸的ESBDを試みた悪性下部胆管狭窄5例(膵癌4例,肺小細胞癌の膵転移1例)を対象とし,手技完遂率、偶発症、stent閉塞時の対応について検討した。手技:19G針で穿刺し胆汁を吸引後、0.035inchガイドワイヤ(GW)を挿入した。5F胆管拡張用バルンで穿刺部を拡張後,7F Plastic stent(PS)を留置した。
【結果】手技完遂率:4/5例(75%)でESBDに成功した。不成功の1例では胆管壁が硬く5F バルン挿入が不可能であり,PTBDを施行した。偶発症:成功1例および不成功例1例に胆汁漏出性腹膜炎を認めたが、保存的加療で改善した。stent閉塞時の対応:2例にstent閉塞を認めた。1例はPS内にGWを通過させ,スネアでPSを抜去した。Uncovered metallic stent(MS)留置したが肉芽形成により閉塞し、covered MSを追加留置した。他の1例はPS内へのGW挿入が困難であり、PS脇よりGWを先行させた造影カテを挿入し、GW留置後にPSを抜去し、新たなPSを留置した。
【考察】経十二指腸的ESBDにおいて5F バルンの挿入困難例が存在する。stent閉塞時、GWを利用することで瘻孔部を壊すことなくstent交換が可能である。