日本消化器内視鏡学会甲信越支部

20.胆嚢癌浸潤による十二指腸狭窄に対し、内視鏡下ステント留置術が有用であった1例

山梨大学 医学部 消化器内科
高橋 英、深澤光晴、高野伸一、大塚博之、大高雅彦、佐藤 公、榎本信幸

近年、切除不能十二指腸狭窄に対するステントの有用性が報告されている。しかし、十二指腸用のステントは本邦では認可されておらず、食道用ステントを代用しているのが現状である。今回、内視鏡鉗子口から挿入可能な胆管用ステント(Taewoong-Medical社製)を使用し、胆嚢癌浸潤による十二指腸狭窄に対して内視鏡下ステンティングが有用であった1例を経験したため報告する。症例は79歳女性。近医の腹部USで著明な胆嚢壁肥厚を指摘され、当科に紹介となった。CTで不整な胆嚢壁肥厚および同部に連続して十二腸球部の壁肥厚がみられ、胆嚢癌十二指腸浸潤と診断した。入院後より頻回に嘔吐を認め、内視鏡検査を施行したところ、十二指腸球部に狭窄を認め、スコープは通過困難であった。非切除胆嚢癌であり、緩和治療として内視鏡的ステント留置の方針となった。透視下に食道用ステントを用いて狭窄部へのステンティングを試みたが、胃が骨盤内までたわみ挿入不可能であった。後日、処置用内視鏡を使用し、ガイドワイヤ下に10.5Frのデリバリーシステムを挿入し、口径20mm、長さ8cmのステントを留置した。翌日より食事摂取可能となり、通過障害は出現せず退院となった。