日本消化器内視鏡学会甲信越支部

19.十二指腸腫瘍性病変に対する腹腔鏡・内視鏡合同局所切除(LECS)の経験

長野市民病院 消化器科
立岩伸之、多田井敏治、彦坂吉興、須澤兼一、越知泰英、原 悦雄、長谷部修
長野市民病院 外科
左近雅宏、沖田浩一、林  賢、宗像康博

 十二指腸腫瘍性病変に対するESDはスコープの操作性の困難な症例が多く、また壁も薄いため穿孔の高リスク群と考えられる。ひとたび穿孔を来すと後腹膜膿瘍等の重大な偶発症を生じる恐れがある。一方、腹腔鏡下局所切除においては、漿膜側からの腫瘍範囲の同定が困難な症例では腫瘍への切り込みを避けるために切除範囲が大きくなる傾向にある。切除範囲が大きくなると、管腔の狭い十二指腸では術後の変形に伴う狭窄のリスクが増大すると考えられる。比企らは,胃粘膜下腫瘍に対する新しい術式として腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除(laparoscopy endoscopy cooperative surgery: 以下LECS)を報告しており、過剰な胃壁の切除を避けることができるという利点を述べている。今回我々はこの方法を応用し、十二指腸腫瘍性病変4症例(十二指腸球部下壁20mm腺腫、下行部20mm腺腫、水平部15mm腺腫、球部前壁15mm GIST各1例)に対し、腹腔鏡・内視鏡合同局所切除を施行したので報告する。これまでに十二指腸病変に対する本術式の報告はなく、術式の工夫、利点、欠点、問題点につき考察したい。