日本消化器内視鏡学会甲信越支部

18.十二指腸MALTリンパ腫に対する治療と予後の検討

新潟県立がんセンター新潟病院 内科
庄子 聡、加藤俊幸、石川未来、佐藤俊大、佐々木俊哉、船越和博、本山展隆

【目的】十二指腸MALTリンパ腫は報告例も少なく、治療方針が確立されていないため、内科的治療と予後を検討した。

【方法】対象は1998-2001年に診断された十二指腸原発のMALTリンパ腫の3例である。59-68歳(平均64歳)の男性1例、女性2例で、発生部位は上十二指腸曲から球後部に位置し、浅い潰瘍を主とする病変であった。H.pylori感染は1例のみ陽性であった。

【結果】症例1.1998年2月に腹痛から診断され、除菌治療、CHOP療法2コース後に照射30Gyを受けて1999年1月に腫瘍は消失した。8年10カ月間再発なかったが、2007年10月肺癌死された。症例2.2000年6月の胃検診から発見され、除菌治療、CHOP療法3コース後に照射30Gyを受けて2001年7月に寛解した。8年後の現在も再発していない。症例3.十二指腸潰瘍治療中の2001年3月に診断され、除菌治療、CHOP2コース後に照射30Gyを受けて2002年10月に寛解した。再発はなかったが、2004年11月にAITLを新たなに合併し2007年8月死亡した。

【考察】治療として除菌治療・CHOP療法では寛解に至らず、全例に照射30Gyが奏功し、その後再発を認めていない。