日本消化器内視鏡学会甲信越支部

14.EG-530N細径経鼻内視鏡による上部消化管通常検査

松本歯科大学 内科
前島信也
高山内科明生会
前島さやか

【通常上部消化管内視鏡検査をフジノン東芝製EG-530Nを用いた細径経鼻内視鏡で実施している。前処置法をステイック法による鼻腔麻酔とした、平成20年6月からの278例(男性137例、女性141例)での検査経験をまとめた。13例(男性4例、女性9例)に経鼻挿入困難例を認め、経口変更した。ただし、手技に慣れた後期100例(男性53例、女性47例)では、経口変更は2例(男性1例、女性1例)のみだった。早期胃がん3例が発見されたが、吸引、生検に時間がかかり、特に内視鏡反転下での生検組織の採取は困難で時間がかかった。しかし他の内視鏡入れ替えでの採取を必要とすることはなかった。以前に鎮静剤の静脈投与による上部消化管内視鏡検査を経験していた48例を対象に、本検査終了後に鎮静剤投与を次回の再検査時には希望するかどうかのアンケートを行ったが、全例で必要なしとの回答であった。偶発症としては1例に鼻出血を認めたが、タンポナーデ止血を必要とすることはなかった。EG-530Nによる細径経鼻上部消化管内視鏡検査は鎮静剤の静脈投与を必要とせず、検査後通常復帰への時間ロスがなく、安全性、医療経済性にも優れている。