日本消化器内視鏡学会甲信越支部

13.当院におけるNSAIDs潰瘍の特徴

丸の内病院 消化器内科
中村 直、山本香織

【背景】当院の月平均の外来患者数は、内科2000名に対してリウマチ科1200名、整形外科3400名と整形外科・リウマチ患者の多い病院である。それに伴い疼痛管理にNSAIDsが多用されている。【目的】当院における上部消化管のNSAIDs関連潰瘍病変の特徴を明らかにする。【方法】2005年10月〜2009年3月までの42ヶ月の間にEGDにて消化性潰瘍または瘢痕が認められ、その直前にNSAIDsの使用が確認できた44例を対象とした。【結果】44例の平均年齢は69.3才であった。潰瘍の部位は前庭部に多く発生し、活動期潰瘍が70.4%に達していた。潰瘍の形や大きさ、個数を検討すると、大きさは1cm以下で、形はびらん・線状型、多発例が多かった。基礎疾患は46.2%が関節リウマチ、41.0%が変形性関節症などの整形疾患で心臓病は10%程度であった。NSAIDsの使用期間は1年以上と長期のものが多く、併用薬剤としてH2拮抗薬やPPIが使用されている患者は33%程度であった。【考察】当院のNSAIDs潰瘍は、低容量アスピリンが使用される心臓病患者よりもリウマチ整形外科疾患に関連した患者に多く発生し、投与期間が長期にもかかわらず制酸剤の併用が少ないのが特徴であった。