日本消化器内視鏡学会甲信越支部

11.胃形質細胞腫の1例

梨大学 医学部 第1内科
辰巳明久、大高雅彦、佐藤 公、山口達也、大塚博之、植竹智義、深沢光晴、高野伸一、榎本信幸
あいのた内科・消化器科クリニック
相野田隆雄

 40歳、女性。2009年1月に腹部不快感で近医を受診。内視鏡で胃体下部小弯に2cmの褪色域を認め表面は顆粒状でヘマチンの付着を認めた。境界は色素散布しても不明瞭。生検で粘膜固有層に多数のRussell体を有する形質細胞のびまん性増生を認め、免疫組織化学ではIgM, kappaに陽性を示した。好酸性の不定形な物質が間質や血管壁に認め、Congo red染色でアミロイドの沈着と診断。3月末当科に紹介された。身体所見・末梢血・血液生化学検査・血清免疫電気泳動に異常なし。尿中Bence-Jones蛋白陰性。呼気テスト陰性。拡大NBIでは病変部はpit patternが消失し、縮れた血管が不規則に分布し血管密度も低かった。境界部は正常構造との混在を示した。EUSは病変部は第2層のhypoechoic layerが見られ肥厚を呈するが層構造は保たれていた。頚部̶骨盤CT、Gaシンチ、PETで異常はなく胃原発性形質細胞腫と診断した。近年H. pylori除菌により消失する胃形質細胞腫の報告があるが、本例はHpとの関連は乏しいと思われ放射線療法または胃切除を検討中。骨髄腫に合併するアミロイドーシスは全身性に沈着する事が多いが、胃病巣内の沈着例は3例の報告を認めるのみである。治療経過を含めて報告する。